【備忘録】空気抵抗がある場合の落体運動の解き方

Outputの為にも残しておきます.なお,鉛直下向きに $z$ 軸をとります.

【2023/08/29 追記】この記事では速さ $v$ しか求めていません.が,変位 $y$ について解きたいのであれば $v$ を積分すればいいので問題ないかと思います.多分.

【2023/09/04 追記】1章で変数分離形で解けることを導く文章に書き直しました。また,対数の性質の公式を修正しました。

【2023/09/05 追記】前の文章を,「$z$ 軸の単位ベクトル」を「$z$ 軸方向の基本ベクトル」に改めました。

抵抗力の種類

抵抗力には主に次の2種類があります.

  • 粘性抵抗力 物体(質点)の運動が遅いときに発生する抵抗力.速度に比例し,定数 $\alpha > 0$ を用いて \begin{equation}\boldsymbol{F} = -\alpha\boldsymbol{v}\end{equation}と表されます.落下する向きの反対向きに力が加わるのでマイナスがつきます.
  • 慣性抵抗力 物体(質点)の運動が速いときに発生する抵抗力.速度の $2$ 乗に比例し,定数 $\beta > 0$ を用いて \begin{equation} F = \left\{ \begin{array}{ll} -\beta v^2 & \text{$v > 0$ のとき}\\ +\beta v^2 & \text{$v > 0$ のとき} \end{array} \right. \end{equation} と表されます.

粘性抵抗力が働く場合の放物運動

質量 $m\,$の質点を自由落下させた場合の速さ $v$(速度の鉛直方向)を求めます.

なので,初期条件は $t = 0$ のとき $v = 0$ です.

抵抗力は鉛直上向きに働くので,運動方程式は \begin{equation} m\frac{dv}{dt} = mg - \alpha v \tag{1.1}\end{equation} となります.

この微分方程式は,力の関数の変数が $v$ のみの式なので変数分離形で解くことが出来ます.なので左辺を $v$,右辺を $t$ だけの式にします.

\begin{align*} \frac{dv}{dt} = g - \frac{\alpha v}{m} & \iff dv = \left(g - \frac{\alpha v}{m}\right)dt\\ & \iff \frac{dv}{g - \dfrac{\alpha}{m}v} = dt \end{align*}

両辺積分します.途中計算何してるのか分かんないよ(><)という方に手を差し伸べるべく,番号をつけて説明していきます.解けるって方はここまで飛ばして構いません.

\begin{align} \int \frac{dv}{g - \frac{\alpha}{m}v}\ = \int dt &\iff -\frac{m}{\alpha}\log\left|g - \frac{\alpha}{m}v\right| = t + C \tag{1.2}\label{equ2}\\ &\iff \log\left|g - \frac{\alpha}{m}v\right| = -\frac{\alpha}{m}t + C \tag{1.3}\label{equ3}\\ &\iff g - \frac{\alpha}{m}v = \exp\left(-\frac{\alpha}{m}t + C\right) \tag{1.4}\label{equ4}\\ &\iff \frac{\alpha}{m} v = g - \exp\left(-\frac{\alpha}{m}t + C\right) \tag{1.5}\label{equ5}\\ &\iff v = \frac{m}{\alpha}\left\{g - \exp\left(-\frac{\alpha}{m}t + C\right)\right\} \tag{1.6}\label{equ6}\\ &\phantom{\iff v} = \frac{m}{\alpha}\left\{g - \exp\left(-\frac{\alpha}{m}t\right)\exp(C)\right\} \tag{1.7}\label{equ7} \end{align}




積分の解説)


式\eqref{equ2}の左辺では公式 \begin{equation} \int \frac{dx}{x} = \ln|x| \end{equation} を利用しています.また,$g - \dfrac{\alpha}{m}v = s$ とおけば,$\dfrac{ds}{dv} = -\dfrac{\alpha}{m} \iff dv = -\dfrac{m}{\alpha}ds$ なので,置換積分より

\begin{equation} \int \frac{dv}{g - \frac{\alpha}{m}v}\ = -\frac{m}{\alpha}\int \frac{ds}{s} = -\frac{m}{\alpha}\log|s| = -\frac{m}{\alpha}\log\left|g - \frac{\alpha}{m}v\right| \end{equation}

 

式\eqref{equ3}では紛らわしくなるので省略していますが,$- \dfrac{\alpha}{m}C$ をまた $C$ に置き換えています.

 

式\eqref{equ4}では,$\log$ の定義を利用しています.$\log x = a \iff e^a = x$ です.

 

式\eqref{equ5},\eqref{equ6}にかけて $v$ について解き,最後の式\eqref{equ7}では指数法則 $e^{a + b} = e^a e^b$ を使っています.




(問題の続き)

ここで,初期条件より,$t = 0,\ v = 0$ を代入すると

\begin{equation} 0 = \frac{m}{\alpha}\{ g - \exp(C) \} \iff \exp(C) = g \end{equation}

よって,

\begin{equation} v = \frac{m}{\alpha}\left\{ g - \exp\left(-\frac{\alpha}{m}t\right)g \right\} = \frac{mg}{\alpha}\left\{ 1 - \exp\left( -\frac{\alpha}{m}t \right) \right\} \end{equation}

となります.これで $v$ が求まりましたね!




そういえば雨は自由落下運動をしていると云えますよね.でも,空気抵抗を考えない場合だと,地面に近いときには凄まじいスピードになります! では,空気抵抗を考えると速さはどうなるのでしょうか.

ここで,先程求めた $v$ の式を $t \to \infty$ に飛ばしてみます.すると

\begin{equation} v_{\infty} = \frac{mg}{\alpha} \end{equation}

このように一定の値に収束しました.この速さ(極限値)を 終端速度 といい,これ以上大きくなることはありません.だから雨滴は私たちの方へ殺傷能力 $0$ で落ちてくるわけですね!

慣性抵抗力が働く場合の落体運動

雨滴の半径が大きくなると,粘性抵抗力より慣性抵抗力の方が支配的になります.では,こちらも速さ $v$ を求めていきます.条件は慣性抵抗力が働くものとし,それ以外は全て粘性抵抗力と同じとします.

運動方程式

\begin{equation} m\frac{dv}{dt} = mg - \beta v^2 \tag{2.1} \end{equation}

です.これも変数分離形で解けるので,先程と同様に変数を分けると

\begin{align*} \frac{dv}{g - \dfrac{\beta}{m}v^2} = dt \end{align*}

となります.なので

\begin{equation*} \int \frac{dv}{g - \dfrac{\beta}{m}v^2} = \int dt \end{equation*}

これを計算していきます.右辺は $t + C$ なので,左辺は

\begin{align} \text{左辺} &= \int \dfrac{dv}{\Bigl(\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\Bigr)\Bigl(\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v \Bigr)} \tag{2.2}\label{equ2.2}\\ &= \dfrac{1}{2\sqrt{g}} \int \left( \dfrac{1}{ \sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v } + \dfrac{1}{ \sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v } \right)\,dv \tag{2.3}\label{equ2.3}\\ &= \dfrac{1}{2\sqrt{g}}\left( \sqrt{\dfrac{m}{\beta}}\log\left|\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\right| - \sqrt{\dfrac{m}{\beta}}\log\left|\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\right| \right) \tag{2.4}\label{equ2.4}\\ &= \dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{m}{g\beta}}\biggl( \log\biggl|\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\biggr| - \log\biggl|\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\biggr| \biggr) \tag{2.5}\label{equ2.5}\\ &= \dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{m}{g\beta}}\log\left| \dfrac{\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v}{\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v} \right| \tag{2.6}\label{equ2.6} \end{align}

となります.では,これも1行ずつ解説していくので,分かる方はここまで飛ばしてください.




積分の解説)


式\eqref{equ2.2}では,和と差の積に因数分解しています.$a^2 - b^2 = (a + b)(a - b)$


式\eqref{equ2.3}では,部分分数分解を行っています.$\dfrac{1}{A} - \dfrac{1}{B} = \dfrac{B - A}{AB}$ を使うと簡単に解けるかと思います.


式\eqref{equ2.4}では,項別に積分しています.使う公式は式\eqref{equ2}のときと同じです.寧ろこの公式を使って解けるように分母を $v$ の $1$ 次式にしたんですね.


式\eqref{equ2.5}では,$\sqrt{\dfrac{m}{\beta}}$ は定数ですので括ります.


式\eqref{equ2.6}で対数の性質 $\log M - \log N = \log \dfrac{M}{N}$ を使っています.




(問題の続き)

 

これによって得た

\begin{equation} \dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{m}{g\beta}}\log\left| \dfrac{\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v}{\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v} \right| = t + C \end{equation}

を $v$ について解いていきます.

\begin{align*} \dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{m}{g\beta}}\log\left| \dfrac{\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v}{\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v} \right| = t + C & \quad\stackrel{2C\sqrt{{g\beta}/{m}} = C'}{\iff}\quad \log\left| \dfrac{\sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v}{\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v} \right| = 2t\sqrt{\dfrac{g\beta}{m}} + C'\\ &\qquad\iff \dfrac{\sqrt{g} + \sqrt{\frac{\beta}{m}}\,v}{\sqrt{g} - \sqrt{\frac{\beta}{m}}\,v} = e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'}\\ &\qquad\iff \sqrt{g} + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v = \biggl(\sqrt{g} - \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v\biggr)e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'}\\ &\qquad\iff \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v + \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'} = \sqrt{g}\,e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'} - \sqrt{g}\\ &\qquad\iff \sqrt{\dfrac{\beta}{m}}\,v \left(1 + e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'}\right) = \sqrt{g}\left(e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'} - 1\right)\\ &\qquad\iff v = -\sqrt{\dfrac{mg}{\beta}} \dfrac{ 1 - e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'} }{ 1 + e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}} + C'} } \end{align*}

ここで,初期条件より,$t = 0,\ v = 0$ を代入すると

\begin{align*} 0 = 1 - e^{C'} \iff C' = 0 \end{align*} となるので,特殊解は \begin{equation} v = -\sqrt{\dfrac{mg}{\beta}} \dfrac{ 1 - e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} }{ 1 + e^{2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} } \end{equation}

になります.また先程と同じように終端速度を求めたいのですが,このままでは $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形になります.ロピタルの定理を使うのも億劫なのである工夫をします.ここで,分子分母に $e^{-2t\sqrt{{g\beta}/{m}}}$ をかけます.すると

\begin{equation*} v = -\sqrt{\dfrac{mg}{\beta}} \dfrac{ e^{-2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} - 1 }{ e^{-2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} + 1 } = \sqrt{\dfrac{mg}{\beta}} \dfrac{ 1 - e^{-2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} }{ 1 + e^{-2t\sqrt{{g\beta}/{m}}} } \end{equation*}

なので,$t \to \infty$とすると

\begin{equation} v_{\infty} = \sqrt{\dfrac{mg}{\beta}} \end{equation}

と,終端速度が求められました.

おわりに

如何でしたでしょうか.説明するのが下手なのでうまく言語化が出来ず拙い文章になりましたが,これによって悩みが解決した人がいれば幸いです.間違いがあれば報告してくださると助かります.時間があったら次は放物運動についても書こうかなと.では.

Reference

  1. 井口英雄,佐甲徳栄,相馬 亘,中原明生 著.“改訂版 理工系のための力学,”東京図書,P.304,2019.
  2. 原島鮮 著.“力学(三訂版),”裳華房,P.388,1985.

【Stone Story RPG】本編クリア時の装備を紹介

Stone Story RPG本編クリアしました!










初めての記事で本編クリア・・・?










このゲームは何?

リファラルコードを置いておきます。是非使ってください! 36G5

AA(アスキーアート)で描かれた世界でAIが戦闘をするRPGです。

4,5年前くらいにあって、 この方の実況を見るの当時ハマってたんですが、3か月前にiOS版がリリースされていることを知って昨日(25日)DLしました。





同じ場所を周回できるので、それで素材や宝箱を集めて強くしていきます。自動化のシステムもあり、放置ゲーに近いですね。

単純な操作ばかりだけど凄いですよ。AAの真骨頂を見せられたような気がします。





本編自体はRPGの中ではかなり短い方で、私は34時間ほどでクリアしました。

今日はその時の装備を紹介したいと思います。

メイン武器

· ·:·: 星5 活力属性の魔法の杖(エンチャレベル1) :·:· ·

オプション:dL

左手の此方は遠距離攻撃で、攻撃を当てたときに18%の確率(約$\frac15$)で自身のHPが1アップします。1回のダメージは10、dpsは12です。



· ·:·: 星4 活力属性の盾 :·:· ·

オプション:ah

右手の此方は、40%の確率(約$\frac25$)で自身のHPを2回復します。

右手、左手とも活力属性なのですが、ラスボスの属性を知らないのでエーテル属性へのダメージ(防御)アップというよりかは、戦闘中にHPを回復してくれることに重きを置きました。戦闘中、ポーションは1回しか使えないので。

サブ武器

此等の武器は必要なときのみに使いました。なので、四次元ベルトを装着しておくと、武器の切替が楽になります。




· ·:·: 星5 火のお守り :·:· ·

伝説「吹き荒れる湯気」をクリアすると入手出来ます。戦う前にこれを使って「燃えカス」を召喚しておきます。召喚した後はメイン武器に切替えて大丈夫です。

不死身(HPという概念が無いのか、そもそも攻撃が当たらないか)なので、召喚するだけ得です。此奴は2秒ごとに攻撃し、持続ダメージバフを付与します。この持続ダメージは2 dmg/s入ります。重複は10回なので、右下の敵の表示が10iまで行くと1秒に20ダメージ入ってゴリゴリ削れます。



· ·:·: 星4 エーテル属性のハンマー :·:· ·

オプション:D

第2形態で、敵がHP200回復し続けて互角の闘いになったので、片方は活力属性の杖、もう片方はこれにしてDPSをあげました。第3形態では、敵の大型攻撃以外このスタイルで攻撃しています。



· ·:·: HPポーション :·:· ·

第3形態でHPが5以下になったら使用しました。



· ·:·: ウロボロスの石 :·:· ·

一定時間で1ずつHPを回復します。あんま使ってないです。

レベル

倒した時のレベルは13です(HP33)。

立ち回り

  1. 戦闘突入前に「燃えカス」召喚。メイン武器に切替
  2. 第1形態:メイン武器
  3. 第2形態:左-杖  右-ハンマー
  4. 第3形態:第2形態と同じ
    大型攻撃のモーションが入ったらメイン武器に切替えて、防御力を[4.0]にする。
    HPが5以下になればHPポーションを使う

終わりに

戦闘中、本当はHPが5以下になったらHPポーションを使おうと思ったんですが、StoneScriptがONになったままでHP<7で使ってしまいました。でも倒せたのでOKです。